地方でシェアハウスを運営して思ったこと5つ+α


ギークハウス新潟を運営して2年経つが、地方のシェアハウスってどうなの?みたいな質問をよくされるし、ほかの地方の方で興味を持ってくださる方もいらっしゃるのでざっくりまとめてみる。
首都圏とはぜんぜん違う実情があるので良かったら参考に。

シェアハウスについて地方ではまだ知られていない

シェアハウスがどんなものかうちに来てはじめて知った、なんて話をよく聞いた。

欧米ではコスト低減のためのシェアは一般的、さらに東南アジアでは月給よりアパートの家賃が高い場合もあるので若者はシェアでもしないと部屋を持てなかったりする。
ギークハウス新潟立ち上げ当時の2年前、首都圏ではライフスタイルのひとつとして確立しつつあったものの、地方ではまだ浸透していなかった。

が、珍しさからか地元の新聞社やテレビ局に取材していただいた。
サイトのPVは微増だったものの、「テレビ観たよ」「新聞見ました」なんて声をかけられることも多く地方におけるテレビや新聞の力の凄さを実感した。
さらに昨年はシェアハウスをテーマとしたドラマやバラエティが放映され、だんだん認知されていったような気がする。
また地元のブロガーさんに取り上げていただいたことも大きい。
おかげさまで「シェアハウスはプライバシーがないんじゃ」なんて誤解もなくなり、プライベートとパブリックのバランスがちょうどいいのがシェアハウスだという正しい認識が広まった(と思っている)。

とはいえまだまだ住居選択の時のポピュラーな選択肢ではないのは間違いない。
一人暮らしを始める時、または異動の時に「アパートにしようかシェアハウスにしようか」みたいな2択になるまでには程遠いなあと感じている。
他の国と違って日本は豊かなので、現状金銭面でのメリットを求める人は少ないし、地方のアパートの家賃は総じて安い。
コンセプトや雰囲気で選んでくださる方が多いかな。それはそれでいいことではあるのだが。

地方でのシェアハウス需要は少ないが、ないことはない

上記の認知度に加えて、地方は若者の単身世帯が少ない。
首都圏に比べて需要は少なく運営しにくいのは間違いない。
とはいえ需要が全くゼロというわけでもない。

ネット系とシェアハウスは親和性があるのか現在それなりに順調に運営できていてぼちぼち問い合わせも来るし、満室になったりならなかったりする。
ただし政令指定都市でぎりぎり、それ以下の規模の都市だとよほど工夫しない限り厳しいかなと思う。
これは感覚的なところからの推測なので説明が難しいが、人口80万の新潟クラスの都市で「安定して運営していくほどの需要があるとは言い切れないレベル」だと捉えてほしい。
もし小規模の都市でシェアハウスを運営するのであればコンセプトが非常に大事なので「美大のそばのアトリエ付きアート系シェアハウス」など何かに特化した形だといいのかも。

また若年層の人口増に一役買っているフシもあるので、他県からわざわざ住みに来てくれる若い住人向けに自治体からの補助があればうれしいが。
今後は自治体間の若者争奪戦みたいな感じになると思うので、補助金付きシェアハウスなんて出てくるかもしれない。

住人の年齢層はばらけた

首都圏では「シェアハウスは若い人のもの」みたいなイメージがあるが、うちは20代から40代まで年齢層は様々。
同じネット系でありながらジャンルも様々で面白い人がいっぱいいるなあと感じた。
もともと若いエンジニアやデザイナーを支援したいという意志があって立ち上げたが、ジャンルや年齢層が固まらず多様な価値観のシェアハウスになったことは結果的に良かった気がする。

地方でシェアハウスOKの物件を探すのは至難の業

地方は言うまでもなく空き家だらけだ。
新潟市でも少し駅から離れたり、中心部から遠かったりすると空いたまま放置されてる物件が本当に多い。
だが借り手優位な市場のはずなのにシェアハウスをやりたいと告げるととたんに選択肢が狭くなる。
シェアOKな物件はまれに見るが、シェアハウスとして運営してもOKな物件は皆無で、どうしても賃貸でシェアハウスをしたいのであればシェアハウスに好意的な不動産屋の協力の下、大家さんとの交渉が必要になると思う。
たぶん物件の破損や短期での退出など気にされてるところだと思うので、これだと思う物件に出会ったら敷金の増額や半年分の家賃を前払いなど提案してみるといいかも。
あとは賃貸に出ていない空き物件も多数あるので人伝に空き物件を探すという方法もある。

賃貸以外でひとつおすすめなのは中古物件を買ってしまうという方法。
首都圏で一戸建てといえば中古でも数千万から億が相場だが、地方ではひと桁下がる。
築年数が数十年にもなると建物の価値はゼロなので、取り壊しの費用が土地代から引かれているという、「地価より安い一戸建て」もある。
さらにかなりの田舎にいくともうひと桁下がり、数十万で一戸建てが買える場合もある。
インターネットが発達し、買い物に困らない今なら田舎暮らしをコンセプトにしたシェアハウスも有りだと思う。
物件の価格と少額の固定資産税というリスクがあるが、自分が大家になるわけなので自由度は増す。
不動産に当たりをつけたらある程度メンバーを集めて購入するなど工夫次第で運営は可能だと思う。

※自分のところを含めて新潟のシェアハウスはほとんど自己所有物件なはず。

敷金礼金なしでかつ低家賃はキツイ

海外のモデルを基準にし、敷礼なしで出来るだけ家賃を抑えて直接運営をするという方法を取った。(海外には敷金礼金がないし、直接賃貸も多い)
が、これは少し後悔している。

日本は地震があるため、地震に強い木造住宅が多いのだが、海外の鉄筋や石造りの住宅と比べて地震以外の自然災害に弱いし経年劣化もする。
当たり前のように100年200年ともつ海外住宅とは別物で、破損しやすく耐用年数が少ないようだ。
シェアハウスをやる前にもっと住宅そのものについて勉強すべきだった。
運営できなくなることがあるとすれば、需要云々よりも修繕費用が嵩みすぎて支払えないリスクのほうが大きいかもしれないので、今後運営する人はそれを踏まえて家賃を設定するといい。

以上ざっと5つ地方でシェアハウスを運営してきて気付いたことだが、地方都市各地にシェアハウスができて、割と簡単に移住が出来るようになって居住の選択肢が広がると住む側も運営側も自治体もメリットが有るのではと思う。
新潟も含めその都市のいいところって住まないとわからないので。

ということでギークハウス新潟ですが、この春に久しぶりに空きが出るので興味がある方はご一報を。
入居希望者向け内覧会を週末に行う予定。
便利でいいところですよ、新潟もギークハウス新潟も。

※最後に+α
バンコクの安宿やビザラン(ビザツアー)で「ネットで食べてる系」の人と何度か会う機会があって、コストがかからずネットが発達しているバンコクで暮らしてるという話を聞いて、
ギークハウス新潟にもアフィリエイト系やせどり系の人、もしくはネットで生活したいって人が住んでくれて情報交換できたらなあと思ってたけど全然来ない
日本にもそっち系の人はいると思うんだけど、どうもコストを落として生活するよりは、稼ぐ方にベクトルが向いてるのかなと思う。
もし海外に飽きてしばらくの間日本に滞在しようかなって人は地方のシェアハウスがうってつけだと思うのでぜひ選択肢のひとつに。

追記
新潟市よりももう少し田舎にシェアハウス、ギークハウス越路を作りました。
家賃は個室で1万円から。
きっかけはこちら→田舎でシェアハウスをやっていくという話【東南アジアの田舎町で受けた影響】

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